今回は賃貸ライフハックということで賃貸借契約にまつわる裏技じゃないですがテクニックを共有しておこうと思います。
これからお部屋探しの時期がやってきます。
日本では一般的に4月が期首になっているのでそのタイミング前である冬場にお部屋探しが行われます。
しかし一般的にはお部屋探しは人生で機会の少ないイベントだとも思います。
それゆえいざ自身が契約するとなると様々な点で疑問が湧くことだと思います。
その中の一つのジャンルがこちら
そうです火災保険ですね。
いろいろな論点があるジャンルだと思います。
今回不動産会社勤務の僕が業者側からの意見として裏側の情報を共有しておこうと思います。
ちょっと話がそれて不動産管理会社の仕組み等についてもふれているので興味がある方は知識として是非一読ください。
賃貸業界の構図について
まず最初に僕が誰なのかという話ですが、上で述べた通り総合不動産会社で働いています。
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そして現在従事している部門は賃貸部門です。
まさにお客様からいろいろな疑問をぶつけられてきた側にいる人間なのでこういった問いに答えることができます。
そしてここで業界の構図の話ですが基本的に
お客様 = 情報力弱、不動産会社 = 情報力強
となっています。まあ当たり前ですよね。
これってつまりお客様のコントロールが可能なわけです。
そんなに悪い意味で捉えていただく必要はなく、
お客様に来店いただいて想定外のことが起こることなく無事契約まで到達できる
この力があるという点の話です。
生業として行っている側は必要十分な知識、情報がありますし、その意味でお客様の対応に困るようなことはありません。
どんな質問をされたり、主張をされたとしてもそれに対応するための論理、情報等を持っているのでまず負けません。
納得を勝ち得てご契約まで流れていくと思います。
何が言いたいかというと、業界としてお客様側が言いなりという流れがあると思います。
お部屋の契約と一緒に付いてくる指定保険は加入強制?
この点は本当に論点になっています。
過去何度も外せませんかという言葉を聞いてきました。
外したいその気持ちはわかります。
理由は「高い」から一択ですよね。
でも基本的には指定の保険商品で強制加入です。
ちなみに必ず高いわけではありません。管理会社によっては高い場合があります。
では以下で「なぜ高いのか」について順を追って説明していきます。
なぜ指定保険は高いのか?
そもそも現在の賃貸管理の仕組みから関係してくる
これは賃貸の仕組みを考えるとわかってきます。
通常マンションを所持している人(法人の場合もあり)を家主や大家、またはオーナーと呼びます。
では契約者が何かあった際に相談するのはどこでしょうか。
これは家主というケースは少ないですね。現在では多くの場合で管理会社だと思われます。
※地域性等で多少変わると思います
大家さん一人でマンションを見るというのはかなりキツイと思います。そういう理由で管理会社に預けるという選択をする大家さんが非常に多いです。
例えば数部屋を擁するマンションを建てたとします。一人で以下業務を行えるでしょうか。
【建物の管理】
・清掃
・設備修繕
【入居者の管理】
・契約関係含む各種事務
・家賃請求、督促
・入居者対応
大きくくくりましたがそれぞれを説明していくとその業務内容は非常に多岐にわたり細かいです。もし部屋数がたったの10室だったとしても、これをサラリーマンで働きながら片手間で行おうとするとまず無理だと思います。管理をしたいなら専業にならざるを得ないと思います。
管理会社はたくさんもらっているのか
では管理会社は上記管理契約を結べたとしてたくさんもらえるかと言うと、そんなことはありません。
あくまで物件は大家さんの持ち物であり、それが生み出す賃料収入(家賃、共益費、礼金など)はほぼほぼ大家さんに入ります。
管理会社に入るのは一般に数%~10%程度です。
※管理委託契約の内容も千差万別です。それによって%が変わります。
大家さんからすると痛い痛い10%です。
しかし管理会社からするとそれは高いとも言えない報酬額です。
例)家賃5万円/戸 50部屋のマンション
毎月のマンションの賃料収入 250万円
管理会社の管理手数料(10%) 25万円
→50部屋という結構大きいマンションを管理していたとしても毎月の管理会社の収入は25万円です。
これって人一人雇えません。
例えばゴミ回収業者や、週二回の清掃業者を入れたりしたら一気に手残りは少なくなります。
さらに通常の管理業務として入居者からの設備不良問い合わせ、騒音クレーム、鍵紛失による解錠や鍵貸し出し依頼の連絡は容赦なく入ります。
前提としてたくさんの管理契約を請け負わないと回らない状況です。
こういった状況であって管理会社は管理委託契約を1件や2件取れただけではなかなかお金になりません。
ではどこで稼ぐかというと。
広告料といわれる成約報酬
建物の管理と一緒に客付けも管理会社にお願いするケースが多いと思います。これも契約内容で違いがあるとは思いますが。
(客付けはお客を付けるということです。つまり空室だったお部屋に新規入居の契約を取るということですね。)
空室を抱える大家さんにとって最も嬉しいワード「成約」。
さてHAPPYなこの行為ですが管理会社はじめ、その他仲介会社たちがただただ行ってくれるでしょうか。
答えはNOです。
ここにも費用がかかります。
お部屋を成約してくれたら広告料を支払うというのが一般的です。
※その額は地域差がありますが例えば家賃1ヶ月分や、多いと2ヶ月3ヶ月です。
仲介会社なんかは支払われる広告料の額によって本当に動きが変わります。一過性の儲けのことですからね。広告料がいい物件をよく紹介してくれるというのは実際あります。
仲介会社・・・もっぱらお部屋の仲介を専門とする会社。駅前などにたくさん会社が連なっていると思います。
管理会社については成約すれば自分たちの管理費が増えるわけですから自ずと優先的に動くと思います。
お金お金お金、大家さんからすると頭が痛い話ですね。
ちなみに一般に言われる不動産の「利回り」ですが、こういった支払い広告料を含んで計算されていません。賃貸運営をしていると必ず発生する費用ですが。
こういったかたちで管理会社は広告料でももらっています。
そしてさらに
付帯商品で稼ぐ
あと管理会社にとってどこに稼げる余地があるかと言うとズバリ付帯商品です。
お部屋を借りるという法律行為に付随して契約が取れる商品、
まさにそれが保険契約です。
その他にはインターネット申込の仲介やライフライン申込の仲介、各種小売商品の仲介です。
新生活って「色んな新規申込」の機会に溢れています。
インターネット契約を取りたい回線業者、電気申込を取りたい電気事業者、新生活用品(カーテン、ベッド、布団、家具家電など)を売りたい各販売事業者は手数料を払ってその商機に便乗しています。申込用紙を入れてもらったり、カタログを同封してもらったり。
中でもお部屋の保険についてはいわゆる必須の項目です。
この必ず入ってもらう保険についても管理会社が手数料を取れる仕組みになっていることがあるのです。
指定保険が強制であると言われるゆえんはここにあります。
火災保険をマンション指定商品にすることは悪か?
と思われたかもしれませんが、それはちょっと悪く感じるようなリードをしてしまった気がします。
はたしてマンションの保険を指定保険に限定する行為は悪なのか。
こう考えてみてください。
あるマンションをA管理会社が管理しています。
マンションの管理の方法はA管理会社が当然決めてよいですよね。
保険を一つの商品に限定する行為は管理運営上から見て合理性があります。
各入居者に千差万別な保険申込を許容すると結果それは仕事量が多くなります。
お客様からすると「要件満たしていればどこの保険でもいいじゃない」の意見だと思いますが、管理会社からするとそれの数が多くなってくると管理が煩雑になります。
「うちのマンションに入居するのであればソフト面までうちの仕様で」
とくにこれは悪ではなないと思います。
一番最初の新入居のときに指定保険を外してと主張してもなかなか難しいと思います。
管理会社からするとパッケージ商品として売っているのに、なぜはなから一部分解して特殊形態の販売をしないといけなんだろうという気持ちになると思います。
説明した通り根底には手数料売上と運営上一律化したいの理由があります。
ではここで記事タイトルにもなっている本題です。
強制保険を外すことは絶対的にできないか?
→いえ、外せるケースはあります。
強制保険を外せる可能性があるシーンとは
それはズバリ保険の更新のタイミングです。
管理会社から保険更新のお知らせが来ると思います。その際にその旨を伝えてみましょう。
初回に比べてまだ判断がゆるいと思います。
理由は売上について管理されていない可能性があるからです。初回についてはやはりどの付帯商品を付けたかどうかきっかり見られています。
といっても保険更新時に保険を外してみようと思った方は、ガッツリやり合う気持ちでいきましょう。ある程度長期戦になるのも覚悟しましょう。
もちろん管理会社側も簡単にそこを折れたりしません。
それを打ち負かすつもりで絶対に外したいんだ!という気持ちを表明しましょう。
そして合わせて自分で火災保険にはすぐ加入して証書を提出できることをアピールしておきましょう。
こんな曖昧さを持っているともちろん管理会社担当者は強制保険のほうを外したくありません。
その後無保険で入居される可能性がありますからね。
そう感じさせないように入る保険、証書の取得までのスケジュールは押さえておきましょう。
火災保険とよく総称されますがその中身は家財保険、借家人賠償責任保険、個人賠償責任保険です。
・家財保険は部屋内で所有している家財に対してものも
・借家人賠償責任補償は大家さんに対してのもの
・個人賠償責任補償は他人に対してのもの
担当者の性質によって対応が変わる可能性あり
これもわりと結果を左右する条件だと思います。
例えば争いを避けたいのでサッと外すこと承認する人もいます。こんな人に当たるとラッキーですよね。
ちなみに僕なんかはサッと外します。
理由として人の怒りとかに触れているのしんどいですよね。そしてその拘束時間の生産性のなさが気になります。
やっかいなのは好戦的な人です。
多分話しているとゴリゴリ対立の様相を呈してきます。
しんどいですけど意思を曲げずに表明し続けましょう。
このとき感情として怒っている必要はないです。ただ「淡々と」という表現でもOKです。ただし丸め込まれて電話を切ったりはしないぞという静かなる強い意志が伝わればよいと思います。
初回の電話で希望の結果を勝ち得たら大成功、そうでないにしても折り返しをもらえる流れを勝ち得たらそれも成功だと思われます。その後の回答に期待しましょう。
こうして得られる金銭的対価は数千円~1.5万円ぐらい/年
無事火災保険を外せたとして、今度は自身で必ず別の火災保険に入る必要があります。
自身でどこか安い保険商品を申込したとしてその金額は2~4千円/年ぐらいでしょうか。
※独身の一般的な賃貸の場合で想定しています
そして管理会社の強制加入保険で、高いので聞いたことがあるのは年に2万円ぐらいの金額のものです。
ちなみにそれってどれだけ手厚く補償するのって話ですが、いや多分その他の管理サービス(夜の呼び出しも対応しますよ等)と合わせてパッケージになっている可能性が高いです。
でも抱き合わせになっているそのサービスもたいてい不要な場合が多いと思います。
2つの金額の差額は約1.5万円ぐらいですね。
多分これぐらいが一番大きく差額が出るケースです。
まとめ
例えばもし元々の保険が2年で1.5万円ぐらいだとします。
この場合だと確かに個人で加入したほうが安いと思いますが、これはわりと賃貸業界で一般的な設定だと思います。そしてわりと良心的です。
色んな労力を考えるとこの金額ぐらいならデフォルトのままでいいのではないかなと思います。
目安として1年分で1万円を超えてくるようだとちょっと割高かなと感じますね。
ご参考にしてください。
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